2013年4月15日月曜日

第三回路地ゼミ「認識のシークエンス」

第三回路地ゼミにおいて私たちの班は、奥性に変わる路地の評価軸を考えた。

奥性は写真での評価であったが、今回は写真からではない路地の評価方法として考えた。

路地に入り込んですぐに路地というものを認識するのではなくて、歩いていく中で断片的な認識が集まって路地の全体像を認識するのではないか。

具体的に言うと、ある路地に入り込むとバケツがあって椅子があって街灯があって、それらを続けて認識していく中で全体を認識するような、認識のシークエンスが存在するのある。
















そして、認識をする上で尺度となるものとして、以下のものを考えた。

多様性
クローズアップの限度
不可視性
五感

多様性
路地の中に、様々な要素があることで、認識のシークエンスが複雑になる。

クローズアップの限度
クローズアップして見ることができるほど、認識が深まる。

不可視性
見通しがきかないほど、認識のシークエンスが複雑になる。

五感
におい、音、起伏等があることによって、認識のシークエンスが複雑になる。


それらの尺度を通して、認識のシークエンスをたどってなかで、全体を認識するまでの時間が長いほど豊かな路地と考える。

























例えば上の写真では、路地を歩いていくなかで植木、自転車、植木、看板…と視線がどんどん泳いでいく。また落書きや様々な異なるテクスチャーなど覗き込むことで認識する要素もある。奥には曲がり角があり、路地の続きを垣間みることはできず、全体を一度で認識できない。店から漏れるニオイ、音が聞こえてくる。

以上の点から、この路地は「認識のシークエンス」という評価軸から言えば豊かな路地と言える。

 
 逆に、この写真では路地の中に要素が少なく、視線が泳ぐことはあまりない。テクスチャーもおおむね均質で、奥まで見通しもきくことで路地全体を認識しやすい。

以上の点から考えると、この路地は豊かな路地とは言えない。


実践的に言うと、「認識のシークエンス」は各々が通った路地において何があったかを平面図を描くことによって分析を行う、フィールドワークを前提とした評価方法である。今後のフィールドワークにおいて、この方法を実践していきたいと考えている。

文責:斎藤愼一