2013年7月4日木曜日

既往研究について

 「路地本」をまとめるにあたって、既往研究として考現学を祖とするデザイン・サーヴェイを中心とした一連の流れを1900年代から現代までまとめ、年表にしました。そこに路地ゼミを並べてみることで、路地あるいは路地的なのものに関する研究の全体像を把握しようという魂胆だったのですが、なんとも言えない違和感を感じ、その年表だけで引き続き路地について議論することを躊躇うことになりました。
 それはデザイン・サーヴェイを始めとする動きが、集落であったり都市であったりを発見したのち、それを記述し定着させることを通して都市、社会というものを広く見ようとしたのに対し、路地ゼミとしては「路地的なもの」を含めて議論できるような「路地」の定義付け、つまり「言語化」が目的であり、記号として記録することはあってもそれはあくまでもその方法であること。また、デザイン・サーヴェイではあまり積極的に語られることのなかった(そして遺留品研究所はそこを批判しましたが)主体と客体の関係、更に認識の問題として主観、客観の問題の方をより意識している部分ではないかと思います。
 新たな既往研究が早く定まればそれに越したことはないのですが、次への糸口を見つけるためにもわたしの「今日の路地」では、何が違和感となっているのか更に整理しつつ、場所を認識するときの見るものと、見られるものとしての場所の関係を考えていきたいと思います。

 参考文献 <アタラシヤ>としての<ヒトーもの> 
          遺留品研究所 1971.7.都市住宅
      創る基盤としてのデザイン・サーヴェイ
          宮脇檀 1971.12.都市住宅
      メイド・イン・トーキョー
          貝島桃代 黒田潤三 塚本由晴 2001

文責 吉川由

0 件のコメント:

コメントを投稿