2013年3月11日月曜日

第一回路地ゼミ13.03.09議事録

第一回路地ゼミ風景
 3月9日に、第一回の路地研究ゼミナールを開催しました。各自が持ち寄った路地の写真(路地的なものとしての絵画等も含む)について、それをなぜ路地だと思うか、魅力的な路地の条件は何か、個人的な路地体験などをふまえて、集まった路地の群をどのように分類出来るかを議論していきました。
その日の議論の一応の結論として、生活に直結したもの(living)と商業的なもの(commercial)、意識的にしつらえられたもの(performance)と無意識的に集積したもの(unconscious)というパラメータによって分布をつくって見る事としました。
商業と生活、意識と無意識によって分類したダイアグラム

路地的であるもの 分類後の残り
議論をしていく中で、路地的でないかもしれないとされたもの

しかし、この分類によって、路地的空間のすべてが整理されるわけでもなく、こういったスタディーを何通りも重ねて行く事で、今後「路地的空間」と呼んでいる意味を明確にしていく必要があると思います。

マルタ・モデル 今後の分類の可能性として
また、今回のゼミにおいて大いに争点となった、路地に対するそれを取り巻く建物の中で生活する人たちの関心の度合いによって、路地は魅力的にも暴力的にもなりうるという事。路地的空間を構成している視覚的な要素としての奥性(明暗やカーブ、シンボル等の奥へ導くもの)や集積性の評価の仕方。絵画のなかにある路地性をどのように言語化出来るか。それぞれの路地の文化的背景との関連性。そういったことも含めて、次回のゼミの中で議論していければと考えています。

次回は、3/20(水)15:00〜 於:目白分室 を予定しています。
一人3〜5枚程度、路地の写真データを持ってきてもらい、それを簡単に説明した後、いくつかのグループに分かれてこれらの路地に対してどういったグルーピングや分類が可能かについて議論してもらい、それを各グループ発表していくという形式をとりたいと思います。よろしくお願いします。

参考文献
『人間のための街路』/B・ルドフスキー/鹿島出版会 (1973/7/15)
『アメリカ大都市の死と生』/J・ジェイコブス/鹿島出版会 (1977/01)
『見えがくれする都市―江戸から東京へ』/槙文彦/鹿島出版会 (1980/6/20)
『見えない都市』/イタロ・カルビーニョ/河出書房新社 (2003/07)
『マニエリスムと近代建築』/コーリン・ロウ/彰国社 (1981/10)


パネル1

パネル2
パネル3
パネル4
パネル5
以下、当日の議事録の一部です。


路地ゼミ 2013.3.9.

今日の主旨
なるべくたくさん路地を集めたい。それをなんとなく分類して、路地のパターン、バリエーションを確認したい。

路地ゼミは、入江研のテーマとしては人間生活遺構研究の中に入るので、k-proでやっている。昔k-proで5mの模型を作ったときに、首となる通りから路地に入っていく空間をしっかり見ることを学んだ。それらを今もう一度がっと勉強したい。

先生 路地が賑わうことという意味。
そこにいきつくのは大変なので、空間的なことをまず確認したい。なぜ路地が魅力的なのかとか。
このゼミが継続していくのであれば、意味的なことにまで言及出来たら良いなと思っている。

前回のはなし
日本、アジアの路地は中のものが溢れてくることによって路地が形成されている。空間的に分析したり、模型を作りにくい。
西洋の路地のほうが、パリっとしている。模型が作りやすい。空間の話がしやすい。


堀さん:絵にしても写真にしても構図として一点透視的なものになる。遠景、中景、近景。
しえ:路地の定義は?
早田さん:日本の路地の定義は「辻子」。今は「路地」だが、もともとは「露地」。概念自体は江戸くらいから。京都だと「ろーじ」(通り抜けできない)「づし」(通り抜けできる)というらしい。通りと通りの交差点が「辻」でそこが市場とかに発展していく。その発展していく「辻」の子供、として「辻子」。あっさり言うと家と家のスキマ。
日本には西洋的な広場は存在しないし、市民が集まって集会をするような広場はないけど、その代わりに路地的な空間が人が集まる場所になっていた。
赤坂には路地がない。震災以降、明治以降の計画の中では路地のようなものがどんどん失われている。
ヨーロッパでも南のほう、ナポリとか、家と家の間に椅子を持ち出して話したりする文化が残っている。そういうのが路地文化かなと思う。
暗くて狭い、小さい。見通しが悪い。
京都とか、五重塔とかアイコンに対して向かっていくような小道が作られていたりする。
計画的に作られた路地と、偶発的な路地。

早田さん:海外の路地、露店?海外に住んでいた人の、路地のイメージは?日本に住んでると、ノスタルジックなものとしての路地というイメージは拭えない。そのへんはどうですか。

堀さん:パリ。路地はオシッコ臭い。危ない。日本の路地は憧れ。
早田さん:広場と路地。日本には広場はないけど路地がある。対比的なもの。

しえ:ドイツ。住んでいたところの写真を撮ってもあまり路地的なものがない。土地が広い。狭い道もあまりない。雰囲気がある道でも車が通れるくらいの幅員がある。
しんちゃん:香港は違法建築というか、ベランダとかに勝手に何か建てたりして迫ってくるものがある。増築。看板をいかに前に突き出すか。いて気持ちいいとかより、とにかくがやがやしている。
津田ちゃん:パッサージュとかが多い気がする。
早田さん:路地とパッサージュというので話にはよく出るけど、あまりパサージュに路地的要素はない。

早田さん:町家的な場所だと、表の通りにお店とかが並んでいて、町家の中に共用の井戸とかあって。路地と広場とよく言うが、ヨーロッパって広場で遊ぶのか?
しえ:ちっちゃいロータリーとか、車とかあまり通らないところで遊ぶ。

早田さん:これを分類するときに、単純に形態として分類することも出来るけど、そうではない分類の可能性がないか。

松岡:路地にベランダみたいなところがあって、そこに座って、というのが伝統的な形式としてあるらしい。

津田ちゃん:ミラノ。パサージュ的な、ヨーロッパの路地というのは、アーチとか回廊があるんじゃないかなと思った。路地の入り口に門みたいにアーチがある。日本にはないもの。

マルタ:パサージュは路地じゃない。パサージュは通り過ぎるところで、路地という感じはしない。カレ?は幅は広いけど、とどまるという点で路地っぽい。
広場の真ん中に噴水があってそれを共用の井戸のように使っていた。
つだちゃん:ヨーロッパ、路地に突然蛇口があったりする。
しえ:駅の近くとかに噴水広場みたいなのがあってそこで遊ぶ。
渡部さん:町の噴水を見に行くか、と言って行ったら、ただ蛇口があるだけだった。
早田さん:日本は江戸くらいから上下水道が整ってきたけど、パリとかは19世紀くらいだからじゃないか。窓から投げるとか。
堀さん:道に勾配が着いている。ハイヒールも避けるため。
しえ:飛び石みたいなのとか。

早田さん:女子的には、裏原とかああいう場所、路地的な場所、くねくねしたところ、最近流行っている。それはどういう心理か。
つだちゃん:女子ではないが!親近感、入り易さ。
早田さん:逆じゃないか!?メインストリートの方が入りやすい。
つだちゃん:ぷらっとして入れるから。
早田さん:わざわざ細かいところに、ちっちゃいお店に行くのはなぜか。
つだちゃん:隠れ家的な。メインが表通りに陣取って、まだ開発されていないところに新しいものがあるのではないか。昔、裏原とか畑だった。
たかし:昔もっと細くて住宅街だったけど、都市計画とかで道幅拡げて通れるようになって、川を埋めて、店を出し始めた。だんだん商業化してきたイメージ。
早田さん:商業性が高まってきたから路地さえも。
たかし:パサージュのような、作られたものだから路地じゃないのかも。

マルタ:クレーの絵は路地とどういう関係があるのか?
早田さん:三角形があるのが路地っぽいなと思った。四角がたくさんなるなかできゅっとつぶされたような三角があるのが、路地っぽいと思った。


つだちゃん:ドブロブニク、提灯みたいなのがいっぱいあって、世界遺産になっている。
早田さん:ジブリとかすごく路地。千と千尋、台湾。

堀さん:建築勉強してない人にとって路地っていうのはどうなのか。好きなのか。
早田さん:路地裏カフェとか流行っている。それは憧れだし、ジブリに洗脳されている。古き良き日本のイメージ。
路地的空間に坂、勾配は必要か。階段、高低差があると絵になる。
堀さん:路地と言えるのか、という感じはする。家と家のスキマではあるが。
しんいち:見通しのきかなさ。日本の路地。微地形。槙さん。奥性。
日本の路地奥性。見通しのきかなさ。暗くて狭い。
明るくて広いとメインストリートになってしまう。

これだけある路地を、何かしらの方法で分類したい。

ノスタルジーだけでなく、華やかな路地っていうものが存在するのか。
思いで横丁とか、バルセロナ、は華やか。
■整備されていない感じ。

つだ:奥性だけじゃなくって生活感。身体スケール。にじみだし。
早田さん:まったくにじみだしがなくても路地っぽい感じがするところはある。
渡部さん:日本もヨーロッパも、空の切り取り方が似ている気がする。
たかし:h/d

しゅんすけとメアリーブレア
絵の中に、空間を描かなくても、キュビズム的かもしれないけどいろんな要素を散りばめると路地的な要素が出てくるのではないか。

堀さん:路地、と思えば路地に見えてしまう。

おおや:路地に空間性というよりも、路地にあるもの。動物がいると路地っぽい。猫。潜んでいるもの。

つだ:雑多、何でも受け入れてくれる感じ。安心感と怖さ。ヨーロッパの路地は怖い。
早田さん:アニメ、路地は取引とか。犯罪。辻子には辻番というのがいた。
おおや:路地裏はスラムとかになりうる。

しつらえの路地と生活の路地
京都、神楽坂
京都、路地をアプローチとして作っているもの・・・しつらえの路地
東京とか。あふれだし、にじみだし・・・・・・・・生活の路地

0 件のコメント:

コメントを投稿